
『伊勢物語』の「狩の使(かりのつかい)」の段には、在原業平と斎王の恬子(やすこ)内親王がモデルと言われる恋物語として狩の使の男と斎王の一夜の出会いが描かれています。再び会いたいと願った業平でしたが、尾張国に行かねばならず、二人は別れを惜しんだ歌を詠み交わしました。地元では二人が歌を詠み交わした場所が大淀海岸の業平松の下とされています。現在のものは業平松保存会の手で植えられた三代目となり、周囲は業平公園として地元の人に親しまれています。
ほかにも、斎王は『大和物語』、『栄華物語』 、『更級日記(さらしなにっき)』、『大鏡』など多くの王朝文学に登場しています。神に仕える未婚の皇女という運命ゆえの悲恋が多く、業平公園を散策すれば、そんなはかない恋物語の風景が思い起こされます。
コメント